2013.2.22

建設が途中で止まってしまった建物に忍び込んだ。わたしは、美しさと、通常の廃墟とはまた違う、一度も人に使われる事なく放置された物哀しさに心を震わせた。この日は雨模様。冷たい雨に濡れながらの探検だった。未だ屋根が作られていない箇所の幾つもは、その下に受け皿のような間取りがあると、決まって雨のプールを作っていた。空から落とされる水の粒を受け入れては弾き返す、その運動はこの日も観察が出来た。広さと暗さで何処まで続くのか確認できないものや覗き込むのも躊躇う位の深い深いもの。これらの様々な水の長方体は一体どれ位の月日をかけて作られたのだろうか。
この巨大なコンクリートの塊は、わたしを否が応でもセンシティブにした。そして雨音が緊張と恐怖心を溶かし、流していった。